ATGの映画ポスター展/Ex Libris —愛書家たちのしるし

展覧会情報

ATGの映画ポスター展/Ex Libris —愛書家たちのしるし
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開催期間

2022年7月19日 〜 2022年8月27日 まで

概要

 高度経済成長によって世の中が便利になった1960年代。一方では、やみくもな発展によって生じた矛盾や齟齬を背景に、様々な分野で先鋭的な表現活動が展開されました。映画もまた例外ではなく、テレビの普及に伴って商業主義に傾倒する日本の映画業界を危惧して、1961年に映画会社ATG(日本アート・シアター・ギルド)が設立されます。東和映画副会長の川喜多かしこによる「日本アート・シアター運動の会」を前身とし、東宝副社長の森岩雄や三和興行社長の井関種雄が賛同する形ではじまったこの団体が目指したのは、「芸術としての映画」を広く一般へ届けることでした。
 初期には、フランス・ヌーヴェルヴァーグやポーランド派など、国外の芸術映画の配給に尽力し、中期からは大島渚や羽仁進など、国内の作家を起用した製作にも乗り出します。製作費をプロダクションと折半する「1000万円映画」という手法を用い、少ない製作費ながら、工夫を凝らして作られるATG映画には、映画のみならず、美術、デザイン、音楽、演劇など各分野で活躍する前衛の旗手たちが集うこととなりました。
 今回の展覧会では、映画ポスターを切り口に、ATGの活動を紹介します。大島弘義、檜垣紀六、小笠原正勝など映画ポスター作家のほか、粟津潔や横尾忠則など戦後日本を代表するグラフィック・デザイナーによって制作されたポスターからは、1960年代の熱気とともに、活動を停止する1992年に至るまでの映画文化の展開を垣間見ることができます。
 合わせて、映画パンフレットや会報誌などが作り出した言説空間にも注目します。これらには、監督を囲む座談会や批評家による作品解説のほか、鑑賞者から寄せられた批評文が掲載され、紙面上で論争が巻き起こることもしばしばありました。ただ映画を製作・配給するだけでなく、議論の場を作り出し、映画を見る眼を養うこともまたATGが重視したものでした。
 京都工芸繊維大学美術工芸資料館は多くのポスターを所蔵しており、さまざまな切り口からそれらを展示公開していますが、今回は、ATGの映画ポスターをまとまった形でご覧いただく初めての機会となります。ATGが戦後日本の文化芸術に果たした功績の一端を示すことができれば幸いです。
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