日本の刀装—刀を飾る技と美

展覧会情報

日本の刀装—刀を飾る技と美
TimeTreeで予定登録する Googleで予定登録する
終了(予定登録はできません)

開催期間

2021年10月23日 〜 2021年11月23日 まで

概要

○刀装(とうそう)とは、刀身を収める外装を指し、拵(こしらえ)とも呼ばれます。刀装は、鞘(さや)や柄(つか)、鐔(つば)などの金具、装着するための緒で構成され、刀身を安全に携行するための装具であると同時に、実戦では柄を握る手を保護し、また滑り止めとしての役割を担っています。こうした実用的な道具でありながらも、刀装には、古来、様々な装飾が施されてきました。本展は、刀装の装飾面に注目し、古代から近世に至るまでの移り変わりを辿り、その特徴と魅力に迫ろうとするものです。
○日本の刀装の最古例は弥生時代のもので、加飾された鞘や柄などが確認されています。古墳時代は、外装全体に文様が表され、後世の刀装に通ずる金具も設けられるなど、日本刀装の原型が形作られました。
○奈良時代の遺例には漆塗の鞘が多く、中には金粉や顔料で文様を描くものも見受けられます。また、柄に鮫皮(さめがわ)を巻く刀装も登場し、これらは江戸時代まで続く加飾方法です。
○平安時代の刀装は、華麗に飾られた儀礼用のものと、シンプルな仕上げの実戦用のものに大きく分かれる傾向にあります。実戦用の刀装は堅固に作られているのが特徴で、鎌倉時代の作品には、機能性を持ちつつ、種々の文様を表したものも見出すことができます。
○南北朝時代は、騎馬戦に加えて山岳戦や遊撃戦などが増え、これに伴い湿気や熱気から刀身を守るために全体を厚い革で覆う刀装が現れるとともに、腰から下げる太刀から、帯に指して安定した装備が可能な打刀(うちがたな)の使用が始まるなど、実用重視の作品が多く見られます。その一方、鮫皮を研ぎ出すなど、新たな装飾技法が出てくるのもこの頃です。
○室町時代を迎えると、鐔や目貫(めぬき)といった金具類の意匠が多様になり、彫金技術も洗練されていきます。そして、装剣の金具制作を主とする工人も登場します。彼らの活躍は時代が下るにつれて活発になり、使用する素材や彫金技法も展開していきます。
○こうした装飾の多様化、技術の発展を背景に、刀装の装飾に更なる広がりを見せるのが桃山時代です。特に鞘への加飾が際立ち、大きな文様や色漆、種々の漆塗技法などを併用した大胆な意匠が多くなります。江戸時代には、漆塗の技法がより一層発展し、表面に細かな凹凸を表すほか、動物の皮革や角、植物の樹皮などと漆を組み合わせて加飾する「変わり塗」が盛んになり、意外性を持ったデザインの刀装が数多く制作されました。
○本展では日本の刀装の変遷を、豊富な刀装資料はもちろん、使用された当時の様子などが窺える絵画資料や古文書資料を交えて紹介します。特に近世における鞘や金具にあしらわれた装飾の展開は著しく、展示では、その多彩な装飾を施した作品を中心に据えます。館内外より選りすぐった古代から近世までの優品を通して、刀を彩ってきた多種多様な装飾を是非ご覧ください。
» 展覧会公式サイトへ行く
この展覧会をSNSでシェアしよう!
B!