大谷崎と文豪たち
展覧会情報
開催期間
2020年6月13日 〜 2020年9月6日 まで
概要
文豪・谷崎潤一郎は、1910年の文壇デビュー以降、1965年に没するまで、「刺青」「痴人の愛」「春琴抄」「細雪」など数々の名作を発表し、不動の地位を確立しました。そうした谷崎の創作活動に刺激を与えたのが、文豪たちとの交流でした。明治末の文壇出発期から、泉鏡花の作風や存在に影響を受け、 さらに永井荷風に「刺青」などの作品を激賞され、華々しい文壇デビューを飾ることとなりました。 同世代の作家、白樺派の志賀直哉、武者小路実篤とは晩年まで交友関係を築き、特に「小説の神様」と称された志賀の文体を、 『文章読本』で称えています。
大正期には、同じ東京帝大出身で6歳下の、芥川龍之介の『羅生門』出版記念会に招かれたのを機に、芥川、佐藤春夫、久米正雄らとの親交を深めます。 昭和初年に至ると、芥川とは「小説の筋」を巡って論争しますが、その最中に芥川は自死、谷崎は追悼文で早すぎる死を悼みました。 また、佐藤とは妻 千代を巡って対立し、のちに千代と離婚、千代と佐藤が結婚すると、一大スキャンダルとして世間に衝撃を与えるのでした。
このように、さまざまな文豪たちと交流しつつ、多くの作品を世に送り出した谷崎。自筆の書簡をはじめ、追悼文、書籍など、交友関係を示す資料も合わせて紹介します。 自死する年に撮影された芥川や、当時の文豪たちを映した映像展示「現代日本文学巡礼」(郡山市こおりやま文学の森資料館所蔵)も必見です。
数々の名作を生み出した文豪たちの交流を、お楽しみ下さい。