コレクション・テーマ展華宵・大正着物イマジュリィ展
展覧会情報
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開催期間
2021年4月3日 〜 2021年6月20日 まで
概要
高畠華宵は大正期を中心に挿絵や広告を描いた画家ですが、ファッションデザイナー的な役割も担っていました。雑誌の表紙や口絵には、伝統的な柄からモダンデザインのものまで、個性的な着物が描かれていて(華宵は同じ柄の着物を描かなかったと自負していました)、大正から昭和初期の着物文化の様子を窺い知ることができます。「着物」には日本の文化的感性や美意識が凝縮されています。着物の起源を定めるのは難しいですが、室町時代の小袖が、現在にまでつながる着物の原型とされています。
着物の種類、着こなし方は、時代によって、また着る人の年齢、身分、TPOなどによって異なります。さらに生地の素材や柄模様もバリエーションが豊かであり、身につける道具という側面に加えて、見て愛でるという要素が強いことも着物の特徴です。華美に、豪華に、清楚に、粋に、格調高く、幽玄に、着物意匠のバリエーションは無限の広がりを有しながら、日本文化の一翼を担ってきました。
昨年の夏、東京国立博物館では特別展「きもの KIMONO FASHONING IDENTITIES」という展覧会が開催されて大きな話題となりました。展覧会では高畠華宵の代表作《移り行く姿》(個人蔵)が数十年ぶりに一般公開され、大好評であったそうです。二曲一双屏風には春夏秋冬の四季の変化を背景に、60人もの女性が描かれていて、明治から昭和初期への女性風俗の移り変わりを見ることができます。華宵の個人的好みに加えて、時代の流行や身分、職業、年齢、季節などによって細やかに描き分けられた多彩な着物イマジュリィ(図像)は、色褪せることのない着物文化の豊かさを物語っています。
今回の展覧会では、華宵が描いた着物の柄や着こなしに着目します。柄の多様さやそれぞれに込められた意味などを紹介しながら、華宵作品にみる大正の着物文化を顕彰していきます。また華宵以外の同時代の画家が描いた着物絵も展示し、大正昭和の近代日本の美意識を探っていきます。繊細でモダンで華麗な美意識が反映された着物イマジュリィの世界をお楽しみください。