源氏物語の絵画—伝土佐光信『源氏系図』をめぐって
展覧会情報
開催期間
2021年1月30日 〜 2021年3月14日 まで
概要
紫式部によって著された『源氏物語』は、物語が成立して以来、数多くの写本が作られ、愛読されました。また、源氏物語を絵画化した「源氏絵」は、平安時代から今に至るまで描き継がれ、優れた物語に裏打ちされた抒情性豊かな世界を多彩に展開し、多くの人々に享受されてきました。香雪美術館が所蔵する新出の「源氏系図(作中人物を、略歴を付して家系図にまとめたもの)」の表紙絵もそのひとつです。土佐派の絵師と画業をまとめた資料「本朝画事」には、土佐光信(1434?~1525?)の作品として、後柏原院が外題を、詞を堂上公家が寄合で書いた「源氏物語五十四帖」が記されています。
土佐光信は、文明元年(1469)に宮廷の絵所預となり土佐派の権威を確立し、伝統的なやまと絵に水墨画の要素を取り入れた新様式を打ち出しました。「源氏系図」香雪本は、表紙絵を土佐光信が描いたとされるこの「源氏物語五十四帖」と深い関わりをもつ作品と考えられます。
本展は、土佐光信の周辺作品や表紙絵にかかわる資料により、「源氏系図」香雪本についての理解を深めつつ、画帖・扇面などの小画面から屏風まで、さまざまに展開する源氏絵を土佐派の作品を中心に紹介します。室町時代から江戸時代まで、バリエーション豊かな源氏物語の絵画を楽しんでいただければ幸いです。