没後20年鴨居玲—静止した刻—
展覧会情報
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開催期間
2020年7月31日 〜 2020年8月30日 まで
概要
本年、没後35年を迎える洋画家鴨居玲の回顧展です。1985(昭和60)年9月に57歳で急逝、その後5年ごとに開催されてきた巡回展も今回で7回目を迎えます。その他にも亡くなって間もないころから、追悼個展や回顧展が全国各地で開かれています。没後もこれほど永く人々に愛され、新たなファンを獲得し続ける画家は希有でしょう。鴨居玲は、新聞記者である父が金沢に赴任してきた1928(昭和3)年、金沢に生を受けました。その後を京城(ソウル)、大阪と転居し金沢へ戻ります。そして金沢美術工芸専門学校(現金沢美術工芸大学、以下美専)の一期生として卒業するまで青春時代を、当地で暮らしました。
当展では、鴨居の画業を三期とするこれまでの考えを踏襲し構成しました。
一章「模索~煩悶する若き画家~」では、美専在学中から41歳での安井賞受賞にいたる画家の苦悩を中心に紹介します。
二章「画風の確立へ~充実の日々~」では、受賞後スペインに渡り、鴨居が「わたしの村」とよぶバルデペーニャスの人たちを題材に、自らの画風を確立していく充実の作品群を紹介します。
三章「終焉への道~再びの煩悶~」。鴨居は、帰国後さらなる芸術の高みを目指し、裸婦・女性像という新たな題材に取り組みます。そして《1982年 私》(当館蔵)という最大の自画像を制作するに至る過程と、苦悩のすえに終焉を迎えるまでをご覧いただきます。
常に「人間とは何か」を問い、自らの内面をえぐるように見つめつづけた鴨居玲。その軌跡を見つめ直す機会になれば幸いです。