京薩摩
展覧会情報
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開催期間
2020年8月22日 〜 2020年11月8日 まで
概要
「薩摩焼(さつまやき)」は、桃山時代より薩摩藩(現在の鹿児島県)において焼かれた陶磁器の総称です。幕末には金彩色絵の絢爛豪華な薩摩焼が欧米へ輸出され、万国博覧会で高い評価を得るなど、人気を博しました。海外における薩摩焼の評価を知った京都の窯元たちは、これを機に同様のやきものの制作に取り組み、海外での販路を開拓していきました。とくに京都の粟田口では、錦光山(きんこうざん)を筆頭に、多くの窯元が欧米向けの趣向を凝らした薩摩焼を制作し、大きな業績を上げました。京都で作られた薩摩焼は、鹿児島で作られた「本薩摩」に対し「京薩摩」と呼ばれています。また、明治期には京都に続いて各地で「神戸薩摩」「大阪薩摩」「横浜薩摩」等が作られました。これらは欧米では総じて「SATSUMA」と呼ばれ、輸出工芸品の花形として知られるようになりました。
SATSUMAは、柔らかい象牙色の素地に赤・緑・黄などの色絵付を施し、さらに金彩を施して文様を表します。色とりどりのまばゆい華やかな装飾と、その細密な絵付が人々を魅了し、花瓶や香炉といった室内装飾品が数多く海を渡りました。
このたびの展示では、当館のSATSUMAコレクションの中核をなす「京薩摩」を中心に、「大阪薩摩」「神戸薩摩」もあわせて、珠玉の作品をご覧いただきます。幕末・明治に花開いた華麗な京薩摩の世界をどうぞお楽しみください。