隅田川に育まれた文化浮世絵に見る名所と美人
展覧会情報
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開催期間
2020年2月29日 〜 2020年6月28日 まで
概要
隅田川は物流や交通の要所でしたが、その周辺には、花の名所、役者の別荘や豪華な造りの料亭があり、粋に着飾る芸者の姿もみられました。“絵になる”題材が豊富な隅田川沿いの風景は、19世紀前半の浮世絵に多く描かれ、美人画や役者絵の背景やコマ絵として描かれたものも数多くみられます。隅田川の近くはまた、絵師の歌川国貞(三代歌川豊国)や歌川国芳といった浮世絵師たちが居住したところでもありました。天保期(1830~44)末に奢侈禁令を掲げた天保改革が始まると、浮世絵の題材も規制されるようになりました。衣類や装飾品、料亭、別荘、そして浮世絵そのものが取締りの対象になり、遊女や役者の似顔は禁じられました。浮世絵の制作が難しい時代となりましたが、三代歌川豊国や歌川国芳をはじめとする絵師により、禁令に触れないような工夫を凝らした作品が生まれました。
本展は三部で構成しています。第一部「描かれた江戸の水辺 隅田川を中心に」では隅田川の景観とその流域が描かれた作品を、第二部「弘化・嘉永期の美人画 国芳・三代豊国の揃物を中心に」では三代豊国と国芳の美人画揃物を、そして第三部「江戸の後」では明治になっても描かれた隅田川と美人などを紹介します。前・後期合わせて200点あまりの浮世絵を展示し、浮世絵の魅力をお伝えします。