美人画ラプソディ・アンコール
展覧会情報
開催期間
2021年9月4日 〜 2021年11月7日 まで
概要
近世以来、わが国では女性美を主題にした、いわゆる「美人画」が多く描かれてきました。明治以降も、女性の美しさとそれを彩る様々な装いや風俗を表した絵画は描き継がれましたが、時代が進むにつれ、やがて画家たちは表面的な美を描くのみならず、労働に携わる姿や日々の暮らしの何気ないひとこま、人生の局面における喜びや悲しみなど、女性の「生」を見つめた作品も描くようになります。その背景として、明治30年代に起こった社会主義思想の高まりによる弱者への共感や関心、あるいは明治40年(1907)に始まる文部省美術展覧会(文展)など大小の展覧会において画家の個性が問われる場が増えたことなどが考えられます。本展覧会は、2020年春にご好評をいただきながらもCovid-19感染拡大防止のために短期の開催となった展覧会「美人画ラプソディ―近代の女性表現―妖しく・愛しく・美しく」のアンコール展です。前回の展示に一部新たな作品を加え、海の見える杜美術館が所蔵する明治から昭和にかけての女性を描いた作品を、「四季風物と美人画」、「女の暮らしと人生」、「女の装い プラス・マイナス」、「少女と美人画」の四章に分け、近代において様々に変容をとげる美人画の諸相を画家達による「ラプソディ(狂詩曲)」と捉え紹介いたします。個性的な画家たちが絵に留めようとした多様な女性美、あるいは女性たちの生のありようをご覧いただくことで、近代における「美人画」の意義や、絵画表現に与えたインパクトを検証する絶好の機会となるでしょう。